次回の体験DAY10月23日(金) 田園調布せせらぎ館

澄んだ瞳に恥じない作品を。不安を乗り越えて届いた「赤の般若心経」【ジャパンエキスポパリ渡航記4】

こんにちは。 田園調布で、書道教室を主宰しております、佐藤清景(さとうせいけい)です。

「ジャパンエキスポパリ2022」渡航記の第4弾をお届けします。

ジャパンエキスポの初日。朝10時前にはオープンしたものの、会場の駐車場が埋まるほどの賑わいとは裏腹に、私のブースの上には暗雲が立ち込めたままでした。

周りのブースでは少しずつ作品が売れ始めているのに、私のところにはなかなかお客様が留まってくれません。「目標はひとつでも売れれば……」と思ってはいたものの、「私だけひとつも売れずに帰ることになるのでは」と、焦りと不安で胸が押しつぶされそうになっていました。

お昼になり、事前手配していた和食のお弁当(3,000円)をいただきました。 主催者の方が「当日は混雑して食事が大変だから」と配慮してくださったもので、きっと美味しかったはずなのですが、頭の中が不安でいっぱいで、正直味をよく覚えていません。

食事が終わり、再び通訳さんとブースでお客様をお迎えしていたとき、ふとあることに気がつきました。

小さな子どもたちが、足を止めて作品を見てくれているのです。

小学生くらいの女の子がブースの前に立ち、赤の「カラー般若心経」をじっと見つめて、「すごく素敵!欲しいけれどママに相談してみるね。また来るわ!」と言って去っていきました。通訳さんと「また来てくれたら嬉しいね^^」と顔を見合わせたものです。

その後も、中学生くらいの別の女の子が通りかかり、やはり赤のタイプを真剣な眼差しで見つめていました。若い世代や学生さんには、この「赤」の作品が特に心に響くのでしょうか。
(赤の作品はこちら)

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夕方16時の奇跡。少女が家族を連れて戻ってきた!

16時を過ぎ、閉場の18時が刻々と近づいてきます。 「ああ、やっぱりダメだったのかな……」と半ば自信を失いかけていた、その時でした。

先ほど一度見にきてくれた、あの中学生くらいの女の子が戻ってきたのです! 今度はお母様と弟さんを一緒につれて。

どうやらお家で「どうしても欲しいの」とお母様に一生懸命プレゼンして、許可をもらってから戻ってきてくれたようでした。お母様の最終確認を経て、無事に購入していただけることが決定いたしました!

「海外で初めて、自分の作品が売れた……!」

感極まった私は、通訳さんと飛び上がってハイタッチを交わしました。 名前も知らない東洋の書家が書いた作品を、自分のお小遣いでは買えないからと、お母様に交渉してまで手に入れてくれた。幾重ものハードルを越えて選んでくれたことに、胸が熱くなり、深い感謝の気持ちでいっぱいになりました。

そしてもう一人、お母様を連れて戻ってきてくれた小学生の女の子もいました。 残念ながらお母様のOKが出ず購入には至りませんでしたが、「私は絶対にこれ素敵だと思う!自分で買えるようになったら絶対買うわ!」と言い残して去っていきました。

その女の子のまっすぐで澄んだ瞳は、今でも忘れることができません。 会場で目が合った子どもたちの美しい瞳にふさわしい、誠実で光のある作品を書いていこう——そう心に固く誓った一日となりました。

ひとつ売れたことへの安堵感と大きな喜びに包まれ、ホテルに戻って乾杯したビールの味は格別でした。光の速さでベッドに潜り込み、ぐっすりと眠りにつきました。

そして翌日の2日目。 「えっ、こんなに買っていただけるの!?」と驚くような、4日間の中で最大の盛り上がりが待っていたのです。

旅の続きは、次回のお楽しみに。

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この記事を書いた人

岩手県遠野市生まれ。外資系船会社勤務を経て、結婚・子育てをしながら書道の道へ。吉川蕉仙氏に師事し、日展入選2回、読売書法会幹事を務めるなど高い技術を持つ。2016年より田園調布にて「清景書道教室」を主宰。パリのジャパンエキスポ招待出展や、銀座・麻布十番での個展など国内外で活動。「日常に溶け込み、愛でていただける書」をコンセプトに、日常がより充実する書道教室を展開している。

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