こんにちは。 田園調布で、書道教室を主宰しております、佐藤清景(さとうせいけい)です。
「ジャパンエキスポパリ2022」渡航記の第4弾をお届けします。
ジャパンエキスポの初日。朝10時前にはオープンしたものの、会場の駐車場が埋まるほどの賑わいとは裏腹に、私のブースの上には暗雲が立ち込めたままでした。
周りのブースでは少しずつ作品が売れ始めているのに、私のところにはなかなかお客様が留まってくれません。「目標はひとつでも売れれば……」と思ってはいたものの、「私だけひとつも売れずに帰ることになるのでは」と、焦りと不安で胸が押しつぶされそうになっていました。
お昼になり、事前手配していた和食のお弁当(3,000円)をいただきました。 主催者の方が「当日は混雑して食事が大変だから」と配慮してくださったもので、きっと美味しかったはずなのですが、頭の中が不安でいっぱいで、正直味をよく覚えていません。

食事が終わり、再び通訳さんとブースでお客様をお迎えしていたとき、ふとあることに気がつきました。
小さな子どもたちが、足を止めて作品を見てくれているのです。
小学生くらいの女の子がブースの前に立ち、赤の「カラー般若心経」をじっと見つめて、「すごく素敵!欲しいけれどママに相談してみるね。また来るわ!」と言って去っていきました。通訳さんと「また来てくれたら嬉しいね^^」と顔を見合わせたものです。
その後も、中学生くらいの別の女の子が通りかかり、やはり赤のタイプを真剣な眼差しで見つめていました。若い世代や学生さんには、この「赤」の作品が特に心に響くのでしょうか。
(赤の作品はこちら)

夕方16時の奇跡。少女が家族を連れて戻ってきた!
16時を過ぎ、閉場の18時が刻々と近づいてきます。 「ああ、やっぱりダメだったのかな……」と半ば自信を失いかけていた、その時でした。
先ほど一度見にきてくれた、あの中学生くらいの女の子が戻ってきたのです! 今度はお母様と弟さんを一緒につれて。
どうやらお家で「どうしても欲しいの」とお母様に一生懸命プレゼンして、許可をもらってから戻ってきてくれたようでした。お母様の最終確認を経て、無事に購入していただけることが決定いたしました!
「海外で初めて、自分の作品が売れた……!」

感極まった私は、通訳さんと飛び上がってハイタッチを交わしました。 名前も知らない東洋の書家が書いた作品を、自分のお小遣いでは買えないからと、お母様に交渉してまで手に入れてくれた。幾重ものハードルを越えて選んでくれたことに、胸が熱くなり、深い感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そしてもう一人、お母様を連れて戻ってきてくれた小学生の女の子もいました。 残念ながらお母様のOKが出ず購入には至りませんでしたが、「私は絶対にこれ素敵だと思う!自分で買えるようになったら絶対買うわ!」と言い残して去っていきました。
その女の子のまっすぐで澄んだ瞳は、今でも忘れることができません。 会場で目が合った子どもたちの美しい瞳にふさわしい、誠実で光のある作品を書いていこう——そう心に固く誓った一日となりました。
ひとつ売れたことへの安堵感と大きな喜びに包まれ、ホテルに戻って乾杯したビールの味は格別でした。光の速さでベッドに潜り込み、ぐっすりと眠りにつきました。
そして翌日の2日目。 「えっ、こんなに買っていただけるの!?」と驚くような、4日間の中で最大の盛り上がりが待っていたのです。
旅の続きは、次回のお楽しみに。

